医療及び介護の総合的な確保の意義

急速に少子高齢化が進む中、我が国では、平成 37 年( 2025 年)にいわゆる「団塊の世代」が全て 75 歳以上となる超高齢社会を迎えます。こうした中で、国民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題です。

我が国における医療及び介護の提供体制は、世界に冠たる国民皆保険を実現した医療保険制度及び創設から 17 年目を迎え社会に定着した介護保険制度の下で、着実に整備されてきました。しかし、高齢化の進展に伴う老人慢性疾患の増加により疾病構造が変化し、医療ニーズについては、病気と共存しながら、生活の質(QOL)の維持・向上を図っていく必要性が高まってきています。一方で、介護ニーズについても、医療ニーズを併せ持つ重度の要介護者や認知症高齢者が増加するなど、医療及び介護の連携の必要性はこれまで以上に高まってきています。特に、認知症への対応については、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立するとともに、早期からの適切な診断や対応等を行うことが求められています。また、人口構造が変化していく中で、医療保険制度及び介護保険制度については、給付と負担のバランスを図りつつ、両制度の持続可能性を確保していくことが重要です。

こうした中で、医療及び介護の提供体制については、サービスを利用する国民の視点に立って、ニーズに見合ったサービスが切れ目なく、かつ、効率的に提供されているかどうかという観点から再点検していく必要があります。また、高齢化が急速に進む都市部や人口が減少する過疎地等といった、それぞれの地域の高齢化の実状に応じて、安心して暮らせる住まいの確保や自立を支える生活支援、疾病予防(医療保険者が行う高齢者の医療の確保に関する法律第18条第1項に規定する特定健康診査等の保健事業を含みます。)・介護予防等との連携も必要です。

このように、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築し、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくことが、医療及び介護の総合的な確保の意義です。

※出典 厚生労働省